プロジェクトを進める上で、自社だけですべてのリソースを賄うのは現実的ではありません。外部の会社やフリーランスに依頼する「調達」は、プロジェクトの成功に直結する重要なポイントです。
この記事では、PMBOKガイド第6版・第7版をベースに、**調達マネジメント(Project Procurement Management)**の基本を分かりやすく解説します。
調達マネジメントとは?
PMBOKにおける調達マネジメントとは、プロジェクトで必要な製品、サービス、成果物を外部から取得するためのプロセス群のことを指します。
たとえば、
- システム開発プロジェクトにおけるテストの外注
- サーバーのハードウェア購入
- デザインやライティング業務の外注
などが該当します。
調達マネジメントの3つのプロセス
PMBOK第6版では、調達マネジメントは以下の3つのプロセスで構成されています。
1. 調達マネジメントの計画(Plan Procurement Management)
ここでは、「何を外注するか」「どのような契約形態にするか」「どの業者に依頼するか」などを計画します。
主なアウトプット:
- 調達マネジメント計画書
- 調達戦略
- 入札文書(RFP、RFQなど)
2. 調達の実行(Conduct Procurements)
業者を選定し、契約を締結するフェーズです。
主な作業:
- 提案依頼書の送付
- ベンダー選定(評価基準に基づく)
- 契約交渉、締結
このフェーズでは、公平性・透明性が求められます。
3. 調達のコントロール(Control Procurements)
契約後は、納品やサービスの実施状況をモニタリングします。品質、納期、コストの面で契約どおり進んでいるかを管理します。
例:
- 成果物の受入検査
- 納品スケジュールの進捗確認
- 契約上の問題解決
調達契約の種類
契約形態はプロジェクトのリスク配分に直結します。代表的な3つを紹介します。
契約形態 | 概要 | 発注者のリスク |
---|---|---|
定額契約(FFP) | 固定の金額で契約 | 最も少ない |
実費償還契約(CR) | 実費+手数料で支払い | 最も多い |
単価契約(T&M) | 時間・材料に応じて支払い | 中間程度 |
システムエンジニア視点でのポイント
実務に近い観点として、以下のような点に注意しましょう。
- 見積依頼(RFP)の質が、業者選定の精度を左右する
- 調達範囲を明確にしないと、スコープ漏れ・追加費用の原因になる
- 契約前にリスク(納期遅延・品質不良など)を洗い出しておくと後が楽
PMBOK第7版との違いは?
PMBOK第7版では、プロセスベースの構成が廃止され、価値提供の原則やパフォーマンスドメインに基づいた柔軟なフレームに移行しましたが、調達という活動自体は依然として重要視されています。
まとめ
調達マネジメントは、コスト管理や品質保証と並んで、プロジェクトの成否を左右する重要な領域です。PMBOKを通してその考え方を理解しておくと、実務や副業でも応用が利きます。