はじめに:なぜリスクマネジメントが重要なのか?
プロジェクトを進める中で、「予定通りに進まない」という経験は誰しもあるはず。
納期遅延、コスト超過、要件の追加…。これらの問題の多くはリスク(不確実性)が原因です。
そのリスクに先回りして対応策を考えておくのが、リスクマネジメントの本質です。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)では、リスクマネジメントは知識エリアの1つとして体系的に定義されています。
リスクマネジメントの7つのプロセス(PMBOK第6版ベース)
PMBOK第6版では、リスクマネジメントは以下の7つのプロセスで構成されています:
プロセス | 概要 |
---|---|
1. リスク・マネジメントの計画 | 全体の進め方(方針、手法、頻度など)を決める |
2. リスクの特定 | 潜在的なリスクを洗い出し、文書化する |
3. 定性的リスク分析 | リスクの発生確率や影響度を主観的に評価 |
4. 定量的リスク分析 | 数値的にリスクの影響を評価(コストや工期への影響など) |
5. リスク対応の計画 | 発生した場合の対応策(回避、転嫁、軽減、受容)を決定 |
6. リスク対応策の実行 | 実際にリスクに対して行動を取る |
7. リスクの監視 | 新たなリスクの発見や既存リスクの変化を継続的にチェック |
※第7版ではプロセス志向から原則ベースに変化しましたが、実務では第6版のプロセスも依然として有用です。
具体例:システム開発プロジェクトにおけるリスク
たとえば以下のようなリスクがあります:
リスク内容 | 発生原因 | 対応策の例 |
---|---|---|
要件変更による工数増加 | 顧客との認識ズレ | 初期段階で仕様を文書化し、承認を得る |
メンバーの離脱 | 急な退職・病気 | ナレッジ共有と属人化の排除 |
外注先の納品遅延 | コントロール不足 | スケジュールにバッファを持たせる |
これらのリスクに対し、発生前から対策を準備しておくことが成功への鍵です。
実務に活かすコツ
- 定性的分析だけでも効果あり
Excelやスプレッドシートで簡単な「リスク一覧表+評価(高・中・低)」を作るだけでも効果があります。 - 週次の進捗会議で「新たなリスクがないか?」を確認
リスクの「見える化」「継続的な見直し」が重要です。 - チームで共有
リスクは一人で抱え込むのではなく、チームで認識を共有しましょう。
まとめ:プロジェクト成功の鍵は「準備」にある
リスクマネジメントは決して難しいものではありません。
「想定外を想定内にする」。これができるだけで、プロジェクトの成功率は格段に上がります。
もしあなたがこれからプロジェクトを任される立場なら、PMBOKのリスクマネジメントをぜひ実践してみてください。